データセンターにおける熱および冷熱の計測
導入事例|データセンター
- 冷却および加熱用エネルギーの流量測定
- 可用性と持続可能性を支えるトータル計装ソリューション
- さまざまな熱媒体に対応
- 地域熱供給ネットワークへ供給するための取引計量用流量測定
背景
データセンターは急速に増加しており、エネルギー消費の大きな要因となっています。世界的なエネルギー転換や地域規制の強化に伴い、運用事業者にはエネルギー効率の向上が強く求められており、将来的には PUE(Power Usage Effectiveness)の目標値を 1.5 以下へと引き下げることが必要とされています。PUE は、データセンターの総エネルギー消費量と IT 機器のエネルギー消費量の比率を示す重要な技術指標です。データセンターの効率改善における大きなポイントの一つは液冷システムです。特に、IT 機器から発生する熱をどれだけ効率的に放熱できるかが重要です。冷却システムだけで、データセンターの総エネルギー消費量の 30% 程度を占めることも珍しくありません。
そうした理由から、ある大手データセンター事業者はフィンランドに新しい施設を建設する際、この改善ポイントを生かすことを考え、建設当初からエネルギー効率の高い冷却を優先し、PUE とカーボンフットプリントの双方を極力抑えることを目標としました。
測定要求事項
このデータセンターでは、コンピューティング設備を安全かつ確実に運用するため、大量の冷却が必要です。冷却はデータセンターの運用において最も重要な要素の一つです。過度な熱が発生すると、サーバーの損傷や性能低下を招いたり、システム停止により高額な損失につながったりする可能性があります。こうしたリスクに対処するため、この事業者はハイブリッドクーラーによる液冷方式を採用しています。また、熱が無制御に放出されることを防ぐため、高度な熱管理システムも導入しています。さらに、同社は廃熱を回収するだけでなく、エネルギー貯蔵システムと地域熱供給システムを組み合わせることで、地域の利用者に暖房用の温水を供給しています。
熱回収とその活用を効率化するため、すべての計測ポイントが詳細に分析され、計画段階から設計に組み込まれました。効率的なデータセンター運用には、流量、圧力、温度を測定するための統合的なプロセス計装が必要です。対象となる設備には、DN100 ~ DN500 の配管や、グリコール水溶液、低導電率の処理温水といったさまざまな冷却/熱媒体が含まれます。
KROHNE ソリューション
KROHNE は、エネルギー計測、冷熱計測、および法的要求に伴う地域熱供給の計量分野で長年の実績を持つ企業として、このデータセンターへの計装機器の提供を任されました。コンサルティングから設計、据付、アフターサービスに至るプロジェクト管理については、フィンランドで KROHNE のサービスパートナーとして長年実績を積んできた Tecalemit Flow Oy が担当しました。
幅広い流量計ラインアップにより、各計測ポイントに最適な測定機器を選定することが可能でした。熱放散に使用されるグリコール水溶液の正確な測定のため、同社は電磁流量計 OPTIFLUX 4100 を約 40 台導入しました。これらの堅牢なインライン型流量計には、冷却回路での長期使用を想定した耐薬品性ライニングと電極が採用されています。本プロジェクトでは、これらの流量計は DN100 ~ DN250 の配管に設置されています。
さらに、クランプオン型超音波流量計 OPTISONIC 6300 が 25 台以上、データセンター内およびネットワーク全体のポンプステーションに設置されました。信頼性の高い非侵入型クランプオン機器として、優れた再現性と広い流量測定レンジを備えています。本機器は、測定の信頼性や耐久性が特に重要な場所で、かつ要求される測定精度を満たす箇所において、データセンター全体で使用されています。特に、脱塩水のように媒体の導電率の関係で電磁流量計の使用が難しい場合や、マグネタイトの付着による測定ドリフトが懸念される場合には、超音波流量計が最適な計測機器として採用されています。
また、周辺地域へ持続的に熱エネルギーを供給するための処理温水の流量測定においては、欧州計測機器指令(MID)MI-004 に準拠した取引計量のための流量計装も必要とされました。この用途では、わずかな測定誤差が大きな経済的損害につながりかねないため、超音波流量計 OPTISONIC 3400 District Heating が採用されました。本機器は最高精度クラス1 の測定に対応しており、熱量計測システムの一部としてリダンダント構成で設置されました。
さらに、データセンター内に多数ある圧力/温度測定ポイントに設置するため、耐久性に優れた圧力伝送器 OPTIBAR PM 5060 が200台以上、それに温度アセンブリ OPTITEMP TRA-S34 および OPTITEMP TRA-T30 が供給されました。
ユーザーベネフィット
あらゆる計測機器を KROHNE から一括供給することで、同社では冷却プロセスの安全性と効率を維持し、蓄熱を正確に監視できるようになりました。また、余剰熱を地域熱供給ネットワークへ持続的に供給するための正確な取引計量も可能になりました。このようにして、同社は法的要件を遵守しながら PUE 目標を達成しています。
KROHNE では顧客に合わせて 最大 6 種類の流量測定技術に対応した製品ラインナップを用意しており、一つの測定方式に制限されることなく、用途ごとに最適な技術を選択することができます。すべての流量計には高度な機器診断機能とセルフチェック機能が搭載されており、長期にわたり信頼性の高い精密な測定が可能です。用途に応じ、その場所で最大限に強みを発揮できる測定技術が使われます。MI-004 や OIML R75 などの規格に基づく取引計量、導電性/非導電性媒体の監視、非侵入型設置、直管長を確保できない限られたスペースでの設置など、さまざまなケースに対応可能です。KROHNE は長年にわたり、データセンターや各種施設向けに熱エネルギーおよび HVAC 用途のプロセス計装を提供しており、厳しい用途にも対応する信頼性の高いソリューションをお届けしています。