開放型灌漑水路における流量監視
導入事例 | 上下水道産業
- 栽培地域における灌漑水の体積流量を確実に把握
- ISO 1438 準拠、矩形ノッチ付き堰の上流部における 80 GHz レーダーの採用
- スマートフォンアプリと Bluetooth® による簡単な立ち上げ、設定
- 老朽化し誤差の出やすい超音波式レベルセンサーを廃止
背景
フランス南部では、全長約 40 kmの人工水路により、約 10,000 ヘクタールの農地へ灌漑水が供給されています。この水路は、年間最大 3,000 万立方メートルの水を下流の配水池へ送ります。主水路から分岐する支線水路により、沿線の農地へ灌漑水が継続的に供給されます。
測定要求事項
当該水路の管理事業者は、支線水路を流れる水量も常時監視しています。こうした開放水路の一つで、ISO 1438 準拠の鋭縁矩形(Rehbock型)ノッチ付き堰を用いた流量測定が行われています。ノッチの側方収縮により、堰の上流で水位が上昇します。堰を越流する水位と流量の間には一定の法則性があるため、上流水位がわかれば排水量の算出が可能です。堰の上流水位およびノッチや水路の形状寸法を測定することで、Poleni に基づく近似式を用いて放流流量を求めることができます。
従来、この事業者では水位や流量の把握に超音波式レベルセンサーを使用していました。しかし、測定点が屋外にあるため、天候や環境の影響により測定結果に誤差が生じる状況が続いていました。音波で測定する超音波式センサーは、気圧や温度の影響を受けやすく、温度変化への対応が主な障害となっていました。加えて、クモの巣や結露など、アンテナへの付着物の問題もありました。こうした影響は、超音波式センサーでは完全に補正することはできません。そのため、より堅牢で信頼性が高く、コストパフォーマンスに優れた流量測定技術を導入する必要がありました。
KROHNE ソリューション
そこで超音波式測定を廃止し、最新の 80 GHz レーダー技術を採用することになりました。現在は、非接触式マイクロ波レベル伝送器 OPTIWAVE 1540 を使用して流量測定を行っています。
非常にコンパクトな設計で、高い精度と再現性を有し、堰やベンチュリ、その他の測定用フルームにおいて低コストで流量測定を行うのに最適な伝送器です。優れた測定ダイナミクスにより、温度や天候が急激に変化するような外的影響下でも、安定した測定を実現します。フラッシュマウント型のレンズアンテナとコンパクトなハウジングは PVDF 製で、媒体や環境影響に耐性があります。さらに、豪雨や強い日差しへの対策として、レーダーには防護カバーも装着されています。
測定堰上部のベストな位置に取り付けるため、80 GHz レーダーの設置時はロングブラケットを使用しました。こちらは、KROHNEからいつでも一括供給可能です。機器は堰の上流側に設置されました。設置後は Bluetooth® 経由で OPTICHECK Level Mobile アプリを使用し、簡潔な設定ウィザードに従ってすぐに稼働を開始することができました。矩形測定堰は、標準アプリケーションとしてあらかじめアプリに登録されています。あとは、開放水路とノッチの各パラメータをアプリ上で入力し、レーダーに転送するだけで設定が完了しました。設定が済んだレベル伝送器は、堰上流の水位に基づいて流量を演算、出力します。
OPTIWAVE 1540 では、さまざまな機器診断を行うことも可能です。内蔵型の OPTICHECK 技術による自己診断機能を備えたレベルレーダーにより、自身の測定を常時監視することができます。ボタン操作ひとつでいつでも機器の動作状態を確認でき、アプリを通じて検証レポートも作成できます。
ユーザーベネフィット
このマイクロ波伝送器は、支線水路を流れる水量の測定において、高い信頼性と長期安定性を実現します。これにより、管理者は農家に供給される灌漑水量を常時把握することができます。レーダー波は電磁波であるため、OPTIWAVE 1540 は気圧や温度の変動、風の影響を受けません。
ビーム角 8° の狭角設計で、堰やフルームでの測定に最適です。従来の超音波方式とは異なり、OPTIWAVE 1540 は結露やクモの巣などの自然付着物がある場合でも、信頼性の高い測定値を提供します。優れた測定ダイナミクスにより、ドリフトのない安定動作が可能で、保守作業や再校正も不要です。
使いやすいアプリがあるため、専門知識がなくても簡単、スピーディに設定作業を進められました。機器本体の操作は不要で、スマートフォンを使って岸から安全かつ簡単に設定を完了させることができました。