IBC タンク内の凝集剤のレベル測定
導入事例 | 上下水道産業
- 凝集剤の在庫監視における安全と信頼性の確保
- 密閉されたプラスチックタンク越しにレベル測定を行う 80 GHz radar
- タンク交換時もレベル伝送器の取り外しや再設置は不要
背景
今回取り上げるのは、水処理、廃棄物処理、エネルギーサービスに携わるグローバル企業です。この企業は、公的機関に代わって排水処理プラントの運営も行っています。そのプラントの一つがフランス南部にあります。
測定要求事項
同社は最先端の処理技術を採用しており、各プロセスは厳格に管理されています。排水を安全に処理するうえで特に重要な点の一つが、沈殿工程の前に凝集処理を的確に行うことです。水溶性ポリマー系凝集剤などの各種薬品は、濃縮状態で IBC タンクに入れられ、現場に保管されています。これは必要に応じて IBC タンクから混合装置へポンプで送られ、希釈されて溶液となり、沈殿槽へ添加されます。
薬品を常に使用できる状態に保つことは、安全な水処理にとって欠かせない要素です。薬品が不足しないよう、適切なタイミングで補充の手配をしなければなりません。そのためには、在庫監視を常時途切れなく続ける必要があります。
従来、同社では IBC タンクのレベル監視に圧力センサーを使用していました。このセンサーはタンク上部の点検蓋にある充填キャップに取り付ける必要があり、容器の移動や交換のたびに手作業で対応する必要がありました。圧力センサーの設置や取り外しの際、薬品がこぼれたり、体に薬品が触れたりするケースが多く発生しており、作業員にとって安全上のリスクとなっていました。
こうしたリスクを解消するため、同社はタンクを上部から開けることなく連続レベル測定を行える方式を採用することにしました。IBC タンクは屋外に設置されていることから、新しく導入するレベル計には、環境の変化に強く、風や温度変動の影響を受けない十分な耐久性が求められました。
KROHNE ソリューション
KROHNE は、IBC タンクのレベル測定用としてマイクロ波レベル伝送器 OPTIWAVE 1540 を提供しました。このコンパクトでコスト効率の高い 80 GHz レーダーは、従来の圧力レベル伝送器とは異なり、アンテナをタンク内に挿入することなく、タンクのプラスチック製上蓋越しに直接測定することが可能です。
レベル伝送器はカバー付きの標準仕様で納入されました。この仕様は IP67 保護等級で、屋外での使用に適しています。湿気や一時的な降雨への耐久性もあり、今回のケースには十分な性能を備えています。なお、さらに高い防水性能を持つ IP68 仕様のレーダーも要望に応じて提供可能です。
OPTIWAVE 1540 は小型の DN40 レンズアンテナを装備した状態で、ロングブラケットを使用してタンク上部から約 10 cm (4 インチ)上方に設置されました。このブラケットも、KROHNE が取り扱っているものです。操作しやすい場所でローカル表示したい、という同社の要望を受け、KROHNE は高コスト効率の指示計 SD 200 も提供し、IBC タンクの状態を現場で容易に監視できるようにしました。
機器の立ち上げは、Bluetooth® 接続により、OPTICHECK Level Mobile アプリを用いて行われました。このアプリには IBC タンク用を含むさまざまなテンプレートが用意されており、機器設定を簡単に行うことができます。IBC タンクの上端および底部までの距離、測定範囲など、数個のパラメータをアプリ上のウィザードに従って入力するだけで、すぐに設定が完了します。
SD 200 によるローカル表示に加え、4~20 mA / HART® 出力を通じて DCS でもレベル値や機器状態を監視できます。また、モバイルアプリでも IBC タンクのレベルや機器状態を確認でき、筐体の開閉といった手作業を行うことなく、ボタン一つで現場での機器検証が可能になります。
ユーザーベネフィット
KROHNE の 80 GHz レーダーにより、同社において凝集剤の在庫を安全、確実に管理する体制が整いました。IBC タンクは自由に移動でき、タンクの交換や補充の際にもレーダーを取り外したり再設置したりする必要はありません。これは、作業安全性の向上につながっています。密閉されたタンクの上蓋越しに測定が行えるため、作業員が誤って薬品に触れたり、こぼれた薬品が体にかかったりするリスクもなくなりました。
また、OPTIWAVE 1540 は風や温度変動の影響を受けず、メンテナンスや再校正も必要ありません。本機器は内蔵型診断機能 OPTICHECK を備えています。OPTICHECK Level Mobile アプリを使用すれば、現場で機器検証を実施でき、診断情報やレポート機能に迅速にアクセスできます。これらの情報は、異常な測定値が出た際にはすぐに共有して原因解析に役立てることができ、日常的な性能確認や状態監視にも利用できます。