大口径配管における湿潤バイオガス流量測定
アプリケーションレポート | 発電
- 凝縮を伴う厳しいバイオガス 条件下でも、信頼性の高い安定監視を実現
- 発酵槽からガス精製装置までの 大口径 DN300 バイオガスライン における超音波流量測定
- 高 CO2 濃度/高 湿度 条件下でも信頼性の高い運転を実現する、 最適化したトランスデューサ設計 の流量計
背景
デンマーク オーデンセに拠点を置く Fangel Bioenergy は、バイオガスおよびバイオメタンの生産/供給事業者です。同社は、近隣農場から供給される家畜ふん尿と、地域の食品メーカーから発生する有機残渣を原料として、年間約 20,000,000 m³ のバイオガスを生産しています。
このバイオガスは主にバイオガスエンジンで利用され、電力系統向けの発電と、地域熱供給網に接続された需要家向けの熱供給に用いられています。今後、同社は主にバイオメタンを国内ガス網へ供給する計画であり、現在のバイオガスエンジンは、太陽光発電や風力発電の出力が不足した際に電力市場の需給バランスを支えるバックアップ電源容量の一部となる予定です。
測定要求事項
生産能力上、この会社では、消化槽からバイオガス精製装置まで、大口径の DN300 鋼管を通してバイオガスを輸送しています。消化槽直後のバイオガスは、通常 メタン 65 %、CO2 35 % で構成され、水分で完全に飽和しています。 運転圧力は 約 100 mbarと低く、プロセス温度は +20…40°Cの範囲です。配管は屋外に敷設されているため、バイオガスは流れる間に冷却され、配管内で多量の凝縮液が発生します。
バイオガス製造事業者は、信頼性が高く、長期安定性に優れた流量測定ソリューションを求めていました。高湿度、変動するガス組成、高い CO2 濃度、低圧、さらに比較的大きな配管径という条件の組み合わせは、多くの流量計にとって厳しい条件であり、適用可能な測定原理は限られています。従来、オシレータ式ガス流量計による試験も行われましたが、満足のいく結果は得られませんでした。
KROHNE ソリューション
他の流量測定方式も検討および試験した結果、最終的にこのバイオガス製造事業者は、この厳しい用途に最も適した原理として超音波流量計を採用しました。市販の超音波式バイオガス流量計は従来 DN200 までに限られていましたが、KROHNE はこの用途向けに DN300 の OPTISONIC 7300 Biogas を提供することができました。
このバイオガス用超音波流量計は、変動するガス組成に対応でき、流れを妨げません。この流量計はフルボア構造のため、圧力損失なく測定できます 高性能な信号処理回路により、配管内を伝搬する超音波信号を効率よく処理します。この信号は、CO₂ 含有量や凝縮液の影響により大きく減衰する場合があります。このため、OPTISONIC 7300 Biogasには、高湿度かつ高CO₂濃度の厳しいプロセス条件下でも信号強度を最適化できるよう、最適化したトランスデューサを採用しています。さらに、堅牢性を高め、硫化水素 (H2S)による腐食に耐えるため、トランスデューサには樹脂部品を使用しないチタン製構造を採用しています。
ガスの体積流量に影響を及ぼす温度および圧力の変動を補正するため、本流量計は圧力&温度センサーを内蔵しています。これにより、標準体積流量および積算標準体積を出力できます。さらに、この流量計は温度および測定した音速に基づいて、メタン濃度を推定することもできます。音速は、ガス組成の変化や構成ガスのモル質量の違いを反映するためです。
ユーザーベネフィット
ユーザーは、このクラスの流量計としては特長的な、DN200 を超える大口径バイオガス配管でも測定可能な超音波流量計のメリットを得られます。大口径配管、高い CO2 濃度、多量の凝縮といった厳しいプロセス条件下でも、 OPTISONIC 7300 Biogas は、追加の測定機器を必要とせず、温度&圧力補正付きの信頼性の高い流量測定を実現します。
この性能は、先進的な信号処理と、CO2 が超音波信号に及ぼす影響を大幅に低減するチタン製トランスデューサの最適化設計の組み合わせによって達成されています。OPTISONIC 7300 Biogasは、圧力損失なく測定でき、広いターンダウン比を備え、ガス組成に左右されずに測定できます。さらに、この超音波流量計は原理上ドリフトがなく、保守もほとんど不要です。
また、メタン濃度測定機能を内蔵している点も、顧客にとって大きな利点です。これにより、設置場所において、高精度ではあるものの高価で保守負荷の大きい抽出式分析計を設置することなく、バイオガス中のバイオメタン収率の傾向把握が可能になりました。